平成28年2月小山市議会定例会、一般質問を公開しました。

平成28年2月小山市議会定例会

 

平成28年2月小山市議会定例会 一般質問内容

●議席番号3番、おやま創生会の土方美代でございます。ただいま議長の許可を得ましたので、通告に基づき、市政一般個人質問いたします。

1、終活について

終活とは、残りの人生をどのように生きていきたいかという望みを形にし、人生の終わりに向けて前向きに準備することで、今をよりよく生きていくための活動です。世界一の長寿国である日本において、核家族化が進み、また経済的にも年金生活ではなかなか厳しい時代、自分の終えんに不安を感じる人が多くなったことは事実です。同時に、仕事が忙しい我が子や孫に負担をかけたくないと思われている方も多くいらっしゃいます。そんな不安を解消するために生まれたのがエンディングノートです。相続の問題、保険、お墓、お葬式はどうするか、人それぞれさまざまな不安を抱えていらっしゃいます。自分らしい最高のエンディングを迎えるために、まずは自身のこれまでの人生を見詰め、これから残りの人生をどのように生きていきたいかを思い描く。終活という言葉は、残された家族への思いやりの一つかもしれません。エンディングノート自体には、法的拘束力はありませんが、家族に自分の思いを伝える一つのツールとしては、すてきなノートだと思います。ちまたの本屋さんでは、売り上げが年々増加していると伺っております。また、あわせて法的効果のある遺言書の作成や任意後見契約、墓守は誰がやるのかなどの祭祀継承者の指定など、一緒に作成すれば、安心感は一層増すかもしれません。
昨年12月、60代から80代の方々に行われた新聞社の「終活をしていますか」というアンケートでは、13.4%の人が「既に行っている」、「近く始めたい」が36.6%、半数の人がみずからの終活について何らかの行動を起こしている結果があらわれました。このエンディングノートに着目し、市政に取り入れたのが神奈川県横須賀市です。横須賀市では、ひとり暮らしで収入も少ない高齢者対象に、生前に葬式の契約をしてもらうエンディングプランサポート事業を始めました。死後、遺体の引き受け先がなく、十分な葬儀もできない人を救うのが目的で、年々ふえ続ける孤独死の問題解決へと一翼を担っております。市生活困窮者自立支援担当者も、「生前の意思がわからない人を少しでも減らしたい」と語っておられ、今後核家族化がますます進む現代において、必要かつ重要な政策だと感じました。

そこで、質問です。
終活について、小山市の現在の取り組みと今後の予定を教えてください。

◎栗原千早保健福祉部長  ただいまのご質問にお答え申し上げます。
さまざまな事情により、死後、親族に引き取ってもらえない遺体の埋火葬を親族にかわり市がとり行う墓地埋火葬法により、市が対応した事例が平成25年度2件、平成26年度ゼロ件、27年度は2月までに7件ありました。親族調査を行い、可能な限り身内による引き取りにつながるよう対応しておりますが、結果として身寄りがない方や何らかの理由で家族や親族との交際を断っていた方がほとんどであり、本人の生前意思表示があったケースはありませんでした。小山市では、本人の生前の意思を伝える手段として、平成26年度に小山市版エンディングノート「思いつむぎノート」を作成いたしました。この中に、もしものときに備え、葬儀の希望などについて記入できる欄が設けられており、小山市社会福祉協議会に委託して希望者に配付しております。今後、思いつむぎノートの普及とあわせ、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯に配付している救急医療情報キットの記録用紙に延命治療や葬儀の希望欄などを設けるなど、多くの人の生前意思を伝える取り組みの検討をしてまいります。
以上、よろしくお願いいたします。

●3番(土方美代議員)  ありがとうございます。ただいまご紹介があったように、我が小山市には、思いつむぎノートというものがあります。ですが、せっかくのノートもただ書いただけでは、その存在があることを家族も誰も知りません。ましてやひとり暮らしならばなおさらです。遺言書のように専門家や各種協会に預けておくのなら、もしものときに責任を持って開示されますが、誰も保管管理をしていない思いつむぎノートをどのように活用していくのか、お尋ねいたします。

◎栗原千早保健福祉部長  ただいまの再質問にお答え申し上げます。
思いつむぎノート書き方講座で、記入する際のポイントや心がけていただきたいことを説明しながら、実際にノートを記入していただくことで、ご自分で記入しやすくなるよう説明を行っております。また、記入後は、ノートを記入したことやノートの保管場所をご家族や大切な人に伝え、万が一のときに読んでもらえることを伝えていただくよう説明しております。これからもご本人の思いを大切にしながら、いざというときにはノートを活用できるよう指導してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

●3番(土方美代議員)  ありがとうございます。市民一人一人の思いが詰まった大切なノートです。せっかくつくった思いを無駄にしないようによろしくお願いいたします。

続けて、リビングウィルについてお尋ねいたします。リビングウィルとは、自分の命が不治かつ末期であれば延命措置を施さないでほしい。延命措置を控えてもらい、苦痛を取り除く緩和に重点を置いた医療に最善を尽くしてもらいたいと宣言し、記しておく宣言書です。治療の余地がなくなったとき、医師から家族に延命措置に関する選択を突きつけられます。そのとき短い時間の中で冷静な判断を行うことは極めて困難なことです。自分が選んだ選択は正しかったのか、覚悟も自信も追いついていきません。本当は本人の意思を尊重してあげたい。でも、実際はそうなってからでは聞くことができないのです。人間誰しも最後のその瞬間まで自分らしく生きたいと思っていますが、この自分らしく生きるとは、自分の意思決定のもとに生きるということ。誤解しないでいただきたいのは、リビングウィルは決して生きる権利を放棄し、自殺幇助をするものではなく、あくまでも自然死を前提に不本意な延命治療を拒否するものです。エンディングノートと同じく法的拘束力はありませんが、自己決定権の尊重、自分の思いを大切な人に託すという意味では共通するところが多く見受けられます。

質問です。
超高齢化社会を迎え、自分のエンディングに不安を抱えていらっしゃる方々も多く見受けられます。このような不安解消のためにも、さまざまな制度、方法があることを市民にご紹介し、よりよい人生を送っていただきたく思うのですが、今後各種セミナーや講習会、講演会、シンポジウムの開催予定があればお聞かせください。

◎栗原千早保健福祉部長  ただいまのご質問にお答え申し上げます。
先ほどもご紹介いたしましたが、小山市で作成いたしました小山市版エンディングノート、思いつむぎノートには、「もしものときのために」というページで、介護が必要になったとき、自宅や施設のどちらで介護を受けたいか。大きな病気に冒されたとき、余命の宣告や延命治療を受けたいかなどの希望をあらかじめ記入していただき、生前の意思表示としてお使いいただける欄を設けました。思いつむぎノートは、現在までに8,500部配付しており、その使い方については小山市社会福祉協議会が小山まちづくり出前講座に登録し、思いつむぎノート書き方講座を22回実施し、564人の参加を得るなど、市民への啓発に努めてまいりました。今後もますます進行する高齢化に備えて、自分らしいエンディングを迎えるために、少しでも安心していただけるよう、リビングウィルについてもさまざまな機会を捉えて啓発してまいりたいと考えております。
以上、よろしくお願いいたします。

 

●3番(土方美代議員) ありがとうございます。制度があっても知らなければ選びようがありません。今後もより多くの情報発信に努め、さまざまな選択肢の中からご自身に合った、自分らしい人生を選んでいただけるようによろしくお願いいたします。

それでは次の質問に移ります。
2、高齢・障がい者の見守りについて

高齢者や障がい者の見守り活動についてはさまざまな課題が山積し、全国どこの自治体でも日々よりよい方法を模索しながら取り組んでいることと思われます。この見守りについて、小山市の現状は、社協を初め地域包括支援センター、自治会、民生委員等、それぞれの立場で活動しております。例えば、民生委員には65歳以上の独居高齢者の情報が渡され、自治会には敬老会主催の立場から、住民登録された75歳以上の名簿が渡され、地域包括支援センターは、要介護認定を受けた人や地域からの情報提供された方を中心に、包括的に見守りをしています。ということは、自治会には住民登録されていない方や75歳未満の方の情報は何も入らず、どこに誰がいらっしゃるのかわかりません。民生委員は、ひとりで何十人もの生活保護者や独居高齢者の見守りでいっぱいいっぱい、地域包括支援センターは、各エリアの担当地域を包括的にサポートしなければならず、お隣さんのような見守りは難しいのが現状です。
私は思います。1人で3人を支えることは難しくても、3人で1人を支えることは可能なはずです。それぞれがそれぞれの立場で支援するよりも、情報の共有化を図り、地域で見守り活動を支えることのほうが合理的だと思われます。
そこで、先日新聞にも掲載されましたが、栃木市の地域支え合い活動推進条例を参考にしてはいかがでしょうか。同条例に基づき、地元で見守り活動を行う自治会や民生委員に、独居の65歳以上の高齢者及び障がい者の名簿を必要に応じて提供できるようにし、戸別訪問や災害時の避難誘導に役立てる。今まで市の個人情報保護条例では、外部への個人情報の提供は、本人の同意があるときや緊急時に限定されており、日常の見守り活動への活用はなかなか難しいのが現状でした。しかし、本条例では、申し出があった自治会に対し、担当地区内の高齢者のみの世帯や、身体、精神障がい者らの住所、氏名、連絡先など、団体が市と個人情報の管理などに関する協定を結ぶことによって、情報の共有化を図れる制度となっています。

そこで質問です。
見守り活動において一番大切なのは、一番身近な地域での支え合いです。地区社協でも、ご近所同士の声掛け運動が安否確認や見守り活動に繋がると推進していますが、「情報の共有化」今の制度だけでは、なかなか個人情報保護法を理由に円滑に運用できないのが現状です。小山市の現在の取り組みについてお尋ねいたします。

◎大久保寿夫市長  ただいまのご質問にお答え申し上げます。
高齢・障がい者の見守りにつきましては、民生児童委員による災害時一人も見逃さない運動により、災害時要援護者として登録希望の把握に努め、毎年個別訪問を実施し、情報の更新を行うとともに、通常時に見守りが必要な方への訪問も行っております。また、障がい者に対しては、障害者手帳等の交付時に、登録の意思確認を行っており、高齢者及び障がい者の方合わせて現在2,185人から関係機関への情報開示について承諾を得ることができております。登録された情報は、GIS機能で、要援護者宅、民生児童委員宅、避難場所等を電子地図上に示し、市、消防本部、警察及び高齢者サポートセンターへ情報を提供し、情報の共有を図っております。
さらに、高齢者見守り訪問事業として、社会福祉協議会と連携し、地域による見守り安心サポーターの設置、独居高齢者や高齢者のみの世帯の方に対しては、新聞、郵便、電力、ガス等の11民間事業所と見守り訪問事業協力に関する協定を締結するとともに、緊急通報装置貸与事業、配食サービス事業などにおいて、重層的な見守り支援を実施し、情報把握に努めております。また、市内5カ所に設置されております高齢者サポートセンターでは、見守りを必要とする人に対して自治会、民生児童委員、社会福祉協議会と連携を図り、個別訪問や地域ケア会議を実施し、知り得た情報は他に漏らさないとの約束のもとで情報の共有化を図っております。小山市といたしましては、現在策定中の第3期小山市地域福祉計画に基づき、今後住みなれた社会で誰もが安心して暮らせる社会実現のため、自助、共助、公助という地域福祉の考えの中で、地域の実情を考慮し、地域で支え合う、特に住民同士やボランティア等の協力で助け合う共助の取り組みを広げてまいりたいと考えています。
以上、よろしくお願いします。

●3番(土方美代議員)  市長、答弁ありがとうございます。小山市においてもさまざまな取り組みがされていることは理解しました。その上でお尋ねいたします。個人情報のブロックを限定解除し、情報の共有を図れるのは法令に基づく場合となっております。そのため、栃木市のほかにも流山市、砂川市など条例をつくる動きが各自治体活発になっております。条例の見直しを含め、新たな制度の構築の必要性はいかんか、お尋ねいたします。

◎栗原千早保健福祉部長  ただいまの再質問にお答え申し上げます。
小山市内でも孤独死がふえておりまして、通常時における高齢者等に対する見守りが非常に重要なことになってきております。そのため、小山市として現行の施策を継続、拡大しながら、自治会、民生委員、高齢者サポートセンター等が、見守りが必要な高齢者や障がい者等の情報を共有化できるように、災害時にはそれぞれが協力し合い、直ちに対応できる体制を構築してまいりたいと思います。しかし、高齢者や障がい者など支援が必要な方の中には、地域とのかかわりを拒絶し、外部への情報提供を拒否する方が少なからずいらっしゃいます。そのため、日常的な見守り活動や災害時の避難支援にかかわる自治会等に必要な情報等をあらかじめ提供できるよう、個人情報の取り扱い等を定める地域支え合い活動推進条例等の制定につきましても、先進地の事例を参考にしながら今後検討してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

 

●3番(土方美代議員)  ありがとうございます。災害などの有事のときに動けるためのルールも必要ですが、大切なのは平時のとき、ふだんの見守りができる制度づくりです。一番の理想は、制度がなくても、向こう三軒両隣が支え合って築く安全、安心なまちづくりですが、行政がそのお手伝いをさせていただく。ぜひとも個人情報保護条例との折り合いを探って、地域福祉の充実を図っていただきたく、制度の構築を要望いたします。

次の質問に移ります。
3、個人番号(マイナンバー)について

昨年10月からマイナンバー制度が始まりました。この制度は、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平公正な社会を実現する社会基盤です。平成28年1月現在、社会保障、税、災害対策の行政手続でマイナンバーが必要になります。平たく言うと、1つ目の社会保障ですが、年金や雇用保険の資格取得や確認、児童手当の現況届等の福祉分野の給付の際、2つ目の税に関するものですが、今は確定申告の時期ですが、税の申告の際、3つ目の災害対策とは、災害者台帳の作成や支援金の給付の際など、このように法律で定められた行政手続にしか使えません。ここで混乱があるのは、何に使うのか、どこに提出するのかによってマイナンバーが記載されている住民票が使える場所と使えない場所があるということです。
例えば、車の登録一つをとっても、引っ越しをしたから車検証の住所変更をしたい。軽自動車を買ったから車の名義変更をしたいといった場合、登録に必要な添付書類となる住民票は、陸運局ではマイナンバー記載のものは原則受け取りません。しかし一方、廃車手続の中でも、車検が残っている車を抹消登録する際には、重量税還付申請を行うのですが、こちらの場合にはマイナンバーが必要です。また、自宅を売買したり、不動産の変更登記をするときに法務局に提出する添付書類としてつける住民票もマイナンバーが記載されているものは受け付け不可です。ほかにも会社から雇用保険の手続や、源泉徴収票に記載するためにマイナンバーを通知するように言われたとき、保険会社や証券会社が法定調書等に記載するために提出を求める場合には、マイナンバーが必要となります。このように、提出先、使用用途によってマイナンバーが記載されている住民票が使える場所と使えない場所があるのです。

そこで、質問です。
現在住民票の写しの交付申請書には、続柄、本籍地、マイナンバー等チェック項目があり、選択してチェックした場合には記載、選択しなかった場合には全て省略、その下に使い道、提出先として登記や車の登録、年金申請など、これまたチェック項目、正直市民の方々は、車のディーラーや会社の人に「住民票をとってきて」と言われたからとりに来ただけで、何が必要で、何が要らないのかわからない方々が大半です。チェック項目があっても、わからなければチェックのしようがありません。その結果、要らないものが記載されているからとり直して、必要な事項が記載されていないからとり直してと言われては、正直怒りたくなっても仕方ありません。このような現状を踏まえて、住民票発行の際、どのような窓口対応に当たられているのか、お尋ねいたします。

◎飯島和子市民生活部長  ただいまのご質問にお答え申し上げます。
住民票の写しは、窓口で世帯主との続柄、本籍、住民票コード等につきまして、申請者にご確認の上、記載を希望する方に対してのみ、それを記載した住民票を交付しているところでございます。このたび行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆる番号法等が平成27年10月5日に施行されたことに伴い、住民票の記載事項に個人番号が追加されることにより、個人番号を記載した住民票の写しの交付ができるようになりました。これを受けまして、住民票の写しに個人番号記載の請求があった場合、その記載の必要性を確認し、不要である場合には請求者にご説明の上、ご理解をいただき、個人番号の記載を省略したものを交付しているところでございます。今後公的機関等から個人番号を求められる機会がふえると考えられますことから、日ごろよりその利用について注視し、出張所の職員も含めて職員間の情報の共有を図り、親切丁寧な窓口対応を心がけてまいりたいと考えます。
以上、どうぞよろしくお願いいたします。

●3番(土方美代議員)  ありがとうございます。くれぐれも市民の方々が二度手間、三度手間ととり直しのないように、窓口の声かけ運動と、あとは窓口の実務者研修をあわせてお願いいたします。
そして、このマイナンバーについて、もう一つ要望ですが、マイナンバーの扱い方を広く市民に周知していただけたらば幸いです。知らないために違法な取り扱いをしてしまっては大変なことになってしまいます。一例を挙げますと、マイナンバーカードを本人確認書類としてコピーをとることは禁止されております。今まで本人確認の方法として、免許証のコピーを至るところでとっていました。例えば、レンタルショップやカラオケ店など、各種会員証をつくるときに証明書として「免許証のコピーとらせていただきますね」と言われて経験がある方も多くいらっしゃると思います。ですが、同じようにマイナンバーカードの裏面までコピーをとってしまうと違法になってしまい、他法令の2倍から3倍重い罰則規定まであります。アルバイトなので知りませんでしたと言っても、量罰規定ですので、事業者に対しても場合によっては4年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられることもあります。また、現在使っているマイナンバーも、他人に知られた可能性などがあるからという理由で番号変更申請をされる方も出てくると思われます。一度受けた番号に変更が生じた場合の通知義務など、細かなルールがいまだに周知されていません。ぜひとも円滑な制度の運用のため、わかりやすい市民向け、事業所向けの説明会などを開催していただけたらば幸いです。こちらは要望とさせていただきます。

以上をもって、質問を終わります。ありがとうございました。