平成29年2月小山市議会定例会、一般質問を公開しました。

平成29年2月小山市議会定例会

平成29年2月小山市議会定例会 一般質問内容

●議席番号3番、おやま創生会の土方美代でございます。ただいま議長の許可をいただきましたので、通告に基づき市政一般個人質問をさせていただきます
質問に入ります前に、本年度末をもって退職される職員の皆様、長きにわたり小山市発展のためにご尽力くださりましたこと、心より感謝申し上げます。これからもますますすてきな年輪を重ねてください。

それでは質問に移ります。
1、災害時等、避難所の仮設トイレについて

災害時のトイレ状況の問題点と課題について質問します。
いつ何時災害が訪れるかはわかりません。ですが、災害を想定して、いかに乗り越えるかは行政をはじめ私たちにとっても、最重要課題だと認識しております。

災害が発生し避難所生活を余儀なくされた方々に、一番困っていることは何かを尋ねてみると、多くの方がトイレの問題を口になさります。
避難所が開設される場所は小学校や中学校をはじめ地域交流センターなどがありますが、東日本大震災や熊本地震、関東東北豪雨をとおして、避難所生活での問題点と課題が浮き彫りとなってきました。ライフラインの電気や水が止まり、水洗トイレが流せない。仮設トイレを設置しても汲み取りが間に合わず、マンホールトイレもいっぱいになり使用不可に。小中学校のマンホールトイレは直接下水に直結するものではなく、細い配水管に繋ぐため、常時水を流しておかなければならず、併せて、配水管自体が細いため、すぐに詰まってしまう課題がある。
また、仮設トイレの設置は、臭いの問題に配慮して、屋外の建物から離れた場所に設置する事が多いのですが、高齢者や女性の方々が一番困っているのは、夜トイレに行くのに、遠いこと、真っ暗で足場が悪いこと、段差があること、和式が大変であり、1人での使用が難しいことが挙げられます。結果、トイレを我慢してしまい膀胱炎になってしまうケースや夜トイレに行きたくなるのを恐れて水分摂取を控える方もいらっしゃり、いわゆる「エコノミークラス症候群」の原因となる「深部静脈血栓症」を引き起こすリスクが高まりました。ほかにも、トイレを通して下痢・嘔吐などの感染症が発症している避難所も。感染症の拡大や膀胱炎など2次災害と呼べるべき課題が山積しております。

そこで質問です。
災害時、避難所での避難生活の中で、ライフラインの電気や水が止まり、水洗トイレが流せなくなり臭いや衛生上大変困ります。避難所の仮設トイレについて、小山市の現状と課題はどうなのかお伺いします。

◎大久保寿夫市長  ただいまのご質問にお答え申し上げます。
避難所の仮設トイレについて、小山市の現状と課題についてですが、ライフラインが途絶した場合に備え、停電や断水でも使用可能な簡易トイレ、水洗式及び非水洗式の2種類を備蓄しております。なお、感染症は、手から口、口から消化管へ感染となることから、手指の消毒剤を常備しております。簡易トイレは、持ち運びが可能で、水洗式は洗用タンクを有し、においが漏れない構造となっています。また、非水洗式は、台座にビニール袋を取りつけるタイプで、使用後は排せつ物の入ったビニール袋を廃棄します。課題といたしましては、水洗式の場合、タンクがいっぱいになると排せつ物を処理する必要があり、また非水洗式は、使用後には凝固剤を入れビニール袋を結び廃棄するため、管理上いずれもにおいや衛生面に配慮しなければなりません。
平成28年4月に内閣府から、避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインが示されました。その中で従前の避難者75人に1基の割合から、50人に1基の割合でトイレが必要であるとされたため、早急に備蓄できるように計画しております。
以上、よろしくお願いいたします。

●3番(土方美代議員)  市長、答弁ありがとうございます。やはり、課題は臭いと感染症予防の問題です。においは精神的にやられます。今までの仮設トイレだと、においを気にして、行くのに大変でも遠くに設置するか、それともにおいを我慢して、安全な屋内に設置するのかの二者択一でした。水害などで足元がヘドロでぐちゃぐちゃの場合、危険が伴い、勇気も要ります。また、今ある仮設トイレだと、感染症までは配慮できない現状であること、これらのトイレ問題を解消するために、現在多くの官公庁や自治体などが導入し始めたのが、組み立てトランク型自動ラップ式トイレです。このトイレは水を使わず、熱圧着によって排せつ物を1回ごとにラップします。また、電気はバッテリー式ですが、停電時に対応するため、車のシガーソケットからも充電できます。その上排せつ物を毎回個別包装にして切り離すので、後処理の手間もなく清潔に使用でき、また特殊な防臭フィルムでにおいや菌を外に漏らさないため、ライフラインが復旧するまでの期間、1週間から最長4週間の間、汚物や吐瀉物による二次感染の予防、汚物の回収車が来るまでのにおいによる精神的ストレスを軽減してくれます

そこで質問です。
仮設トイレは不衛生になり感染症も気になります。そのようなことから臭いと感染症対策に有効なトランク型自動ラップ式トイレの導入等の改善策についてお伺いします。

◎片岡三夫危機管理監  ただいまのご質問にお答え申し上げます。
改善策につきましては、におい及び感染症対策として、避難所におけるトイレ清掃が重要なことから、定期的に清掃することにより、清潔な状態を保つようにいたします。トイレを使用する際には、手や指の消毒をすることはもちろんのこと、消臭剤を設置し、清掃する場合には、手袋、マスクなどを備えます。トランク型自動ラップ式トイレにつきましては、管理をする人の負担を軽減できることから、現在の簡易トイレに加えた備蓄を検討してまいります。
以上、よろしくお願いいたします。

●3番(土方美代議員)  ありがとうございます。このような仮設トイレ以外にも、マンホールトイレなどの導入も考えていただければ幸いなのですが、既存の小中学校に設置をするには1基100万円くらいの費用がかかり、仮に10基作ると1000万円。排水管などの周辺整備を入れればプラス200~300万円上乗せ。それらを避難所の数すべてに設置建設するには多額の費用がかかり現実的ではありません。よって、これから建設する新規の公共施設にはマンホールトイレを。既存の避難所には、トランク型自動ラップ式トイレの導入を推進していただきたいと思います。
また、ストレスケアの観点からみると、先ほどご説明があったように、避難者の50人に1基のトイレが必要との試算もあるとのことでした。併せて数の整備も要望致します。
今回の質問は、「備えあれば憂いなし」ということで、なくて使えないのと、あって使わないのは別ということで、いつ来るかわからない災害だからこそ、いざというときのためによろしくお願いいたします。

 

それでは次の質問に移ります。
2、地域密着型サービスについて

平成27年度に介護報酬改定が話題となり、高齢者への介護や予防に対する意識が高まっています。全国的に高齢化が深刻な問題になっているとはいえ、市町村レベルでみると高齢化率や高齢者施設の状況など大きく異なります。そこで、地域のニーズや財政状況などを加味した市町村独自の政策を行う地域密着型サービスが誕生しました。

このサービスに求められるものは以下の4つ
1.利用者のニーズに基づいたサービスの提供
2.24時間365日、なじみの職員による継続的な支援
3.住み慣れた地域での支援
4.地域との相互の支えあい
このサービスのキーワードは「地域密着で小規模」であること。小規模であれば街中に施設を建てることも容易です。

私は思います。

「ちょっと行ってくる」と言える距離感を大切に、住み慣れた地域の中で利用できるサービスというのがポイントです。
地域密着型サービスでは市町村が事業所指定と指揮監督を行います。そのため、地域住民のニーズを反映した、より細やかで質の良いサービスを独自に提供できます。また、人員基準や施設基準、介護報酬設定も、地域の実情に併せて市町村にて決めることが可能となっています。さらに、2010年に提唱された地域包括ケアシステムにより、自治体には今まで以上に住民の日常生活に直結した医療や介護のサービスが求められています。

この様に法改正により地域密着型サービスが創設され、全国統一とされていた介護保険サービス事業も市町村による独自の政策が進められるようになり、自治体間でのサービスの格差が顕著となりました。
その為、「自分の住んでいる自治体には求めるサービスが無く、隣の自治体にはそのサービスがある」というサービスの差が自治体間に生まれ、住民が隣の自治体に住民票を移しサービスを受けようとするケースが多く見られました。サービス目当ての転入は「住み慣れた地域で継続的に介護を受ける」という地域密着型サービスの本来の目的から外れるという理由でサービス目的での転入を防止する対策を取られているところもあります。しかし、これは行政の都合です。サービス目的の転入が増えれば、それだけ予算もかかる。そのための防止策です。利用者目線、事業者目線は、全く逆方向に向いています。

事業者としては、介護報酬がカットされ、介護従事者の報酬を上げなくてはならない(2017年度から介護職員処遇改善加算に上位区分を設けること)。万年人材不足に悩まされ、その上、受け入れられる利用者さんの地域まで指定され、何処の事業所も、経営が苦しいのが現状です。経営の立場から見れば、1件あたりの利益幅が薄くなった分、薄利多売のサービスを余儀なくされるのにもかかわらず、地域密着型サービスに移行したため、原則小山市の事業者は小山市民だけしか受け入れられない。利用者の受け入れを小山市民に限定されてしまえば、営業の場を制限されているのと同じ。ましてや小山市は野木町、結城市、古河市、栃木市、下野市などと隣接しているのに、「あなたは隣町なので受け入れられません。ご自身の住まわれている事業所に相談して下さい」と断らなければならないのはナンセンスです。県境、市町村の境の利用者や事業所を全く無視した線引きです。

地域密着型サービスに移行して、様々な問題点や課題が明らかになってきましたが、どうも行政が考える問題点と、事業主が抱える問題点、利用者が考える問題点とにズレがあるように感じます。

そこで1.質問です。
小山市が考える地域密着型サービスの問題点と課題についてお伺いします。

◎宮川ゆり子保健福祉部長  ただいまのご質問にお答え申し上げます。
地域密着型サービスは、平成18年の介護保険制度改定に伴い、厚生労働省によって創設された介護サービス類型で、従来の大規模施設によるサービスでは行き届かなかった部分を補完し、認知症高齢者や重度の要介護高齢者が住みなれた地域で、できる限り生活を継続することを可能とする地域包括ケアの中心的サービスとして期待されています。
一方、問題点としては、自治体間で地域密着型サービスの整備に格差が生じている点です。小山市ではすこやか長寿プランに基づき、計画的に地域密着型サービスの整備を進めておりますが、整備がおくれている自治体に住んでいる方の場合、原則として、その自治体の被保険者のみが利用できることとされているため、利用できるサービス内容が制限されてしまうという点です。また、地域密着型サービスは、小規模で家庭的な雰囲気が魅力ですが、事業運営面から見ますと、大規模施設に比べ、スケールメリットの恩恵が受けられないという点が上げられます。
以上、よろしくお願いいたします。

●3番(土方美代議員)  ありがとうございます。利用者にとっては、自治体間のサービスの格差の問題、利用できるサービス内容の制限、事業者にとってはスケールメリットの恩恵を受けられないなどの問題があるとのことですが、そこで質問です。昨今の法改正により、事業者にとっては介護報酬がカットされ、介護職員の処遇改善の費用はふえ、市外利用者は制限されてしまいました。どこの事業者も経営が苦しいのが状況であります。平成28年、倒産件数は日本で見て108件、前年度の1.4倍、負債総額も94億円を超えております。この108件のうち半数が新規の5年以内に開業した事業者です。訪問介護が48件、デイサービス、ショートステイが38件、有料老人ホームが11件、そして過小資本でフランチャイズ加盟などの小規模事業者が業績を上げられずに、経営に行き詰まって倒産するケースが多く見受けられました。事業者が潰れたらば、そこに働く従業員も職を失います。結果、その事業者を信じて入所している利用者を路頭に迷わせてしまいます。市は事業者の支援体制についてどのように考えているのか、お伺いいたします

◎宮川ゆり子保健福祉部長  ただいまのご質問にお答え申し上げます。
ご質問にあった利用者の受け入れに対して地域制限を設けられてしまったサービスは、昨年国が創設いたしました地域密着型通所介護かと存じます。国は定員18人以下の小規模な通所介護事業所は、少人数で生活圏域に密着したサービスであることを踏まえ、地域との連携や運営の透明性の確保、また市町村が地域包括ケアシステムの構築を図る観点から、整合性のあるサービス基盤の整備を行う必要があるため、平成28年4月1日から地域密着型サービスに移行するとして、これまで地域制限のなかった小規模デイサービス事業所に対して制限をかける結果となりました。
また、国による平成27年度介護報酬改定においては、介護職員の処遇改善、物価の動向、介護事業者の経営状況、地域包括ケアの推進等を踏まえ、マイナス2.27%の改定率となりました。平成29年度の国の介護報酬改定により、事業所は月額平均1万円相当の介護職員処遇改善のための費用を介護報酬に上乗せして請求することができるようになりますので、小山市では平成29年度介護保険特別会計予算案において、処遇改善のための費用約1億円を保険給付費に上乗せした形で予算を編成いたしました。これにより、事業者は適切に処遇改善費用に充当できることとなります。
以上、よろしくお願いいたします。

●3番(土方美代議員)  ありがとうございます。小山市では介護従事者の処遇改善のための費用1億円を保険給付費に上乗せして予算を編成し、確実に従事者の懐に1万円入るように整備していただいたとのこと、感謝申し上げます。
また、先日の青木議員の質問に対する答弁の中にもありましたが、事業者からの不正請求やもらった補助金を、事業者自体の運転資金や赤字補填に充当しないようにペナルティーをもって当たるとありました。請求を受益者である従事者が個別に行うのではなく、事業者が補助金申請をかわりにするということは、事業者にとっては補助金申請という煩雑な事務手続という負担がふえるだけで、負担に見合うメリットというのが感じられないのです。利用者の保護、従事者の保護、事業者の保護、市の予算、どれが重要か、誰を保護するかの問題ではなく、バランスの問題だと思います。バランスを崩せば、制度自体が潰れます。

これからはここから先の将来に向けた話になりますが、バランスよく制度を運営し、利用者、事業者ともに利益を得るための方法として、次の質問に移ります。
字面どおりに地域密着型というのなら、事業所を中心に半径10キロ圏内での受け入れというのが理想なのですが、それをすると定住自立圏の範囲を超えた自治体との連携が必要となり、いきなりは困難だと思われます。せめて定住自立圏で連携を締結した野木町、下野市、結城市との関係において相互の受け入れを認めるべきと考えますが、小山市はどのようにお考えかお尋ねします。

◎宮川ゆり子保健福祉部長  ただいまのご質問にお答え申し上げます。
小山地区定住自立圏構想は、人口減少や少子高齢社会が進む中、圏域全体で経済発展や定住環境を整備し、人口流出を防ぐとともに、圏域への新たな人の流れを創出することを目的に、小山市、下野市、野木町、結城市が有する地域資源を最大限に活用して連携協力し、北関東の拠点圏域として、一体的に定住促進と地域活性化を図る取り組みです。
一方、地域密着型サービスは、原則としてその市町の被保険者のみがサービスの利用が可能となっており、基本的にはお住まいの市町にあるサービスを利用する形になっております。しかしながら、自治体間で地域密着型サービスの整備に格差が生じていることもあり、小山市におきましては、他市町の被保険者の、特にデイサービス等の利用についてご相談をいただいた場合には、小山市内の事業所の定員に一定のあきがあり、他市町にサービスが存在しない場合や、あきがない場合など、やむを得ない事情がある場合は、利用者、担当ケアマネジャー、事業所、お住まいの市町と協議の上、他市町の被保険者の利用を受け入れております。今後も定住自立圏構想の理念やサービス格差も念頭に適切な対応をしてまいります。
以上、よろしくお願いいたします。

●3番(土方美代議員)  ありがとうございます。市民の方々は地域密着型サービスの定義なんて知らない方がほとんどでした。医療と同じように、日本全国どこの病院にかかってもいいように、日本全国どこの介護事業所、デイサービスにも行けると思っていたようですし、そもそも自分が住んでいるまち以外の事業所に行けないなんてご存じありませんでした。事業所を選ぶ基準は人それぞれ、お友だちがいるからとか、食事がおいしいから、水辺が見える施設がいい、人里離れた場所がいいと、通える範囲内で理想の事業所を選びます。また、家族も余生を本人の理想の場所で、笑顔に囲まれ、有意義な時間を送らせてあげたいと、そう思うのが人の情ではないのでしょうか。定住自立圏構想の中にぜひとも相互の受け入れ態勢を整備していただけるよう要望し、以上をもって私の質問を終わります。
ありがとうございました。