令和元年12月小山市議会定例会、一般質問を公開しました。
令和元年12月小山市議会定例会
令和元年12月小山市議会定例会 一般質問内容
●議席番号9番、おやま創生会の土方美代でございます。ただいま議長の許可をいただきましたので通告に基づき会派代表質問をいたします。質問に入ります前に、先の台風19号により被災されました方々に対し、心からお見舞い申し上げますとともに、1日も早く元の生活に戻れるよう共に頑張ってまいります。
それでは1.災害対応について(1)罹災証明書と被災証明書についてお伺いします。
1.災害対応について
(1)罹災証明書と被災証明書について
近年の異常気象による台風被害、地震、噴火、津波、雷、竜巻など、いつどこでどのような自然災害が起こるのか、想定を超える被害に不安を募らせている方も多くいらっしゃると思います。自然災害を人知で抑えることは不可能ですが、被害を最小限にとどめるための減災対策とその後の迅速な復旧政策においては改良の余地がまだまだ残されていると思います。
例えば、罹災証明書と被災証明書。被災証明書のほうは、あまり聞きなれない言葉かもしれません。
罹災証明書は、すでに申請中の方々もいらっしゃると思いますが、自然災害による住宅の被害程度を証明するもので、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損傷」という区分に分けられて被害の程度が認定されます。申請をしてから後日調査員が現地に伺い被害の程度を調査し証明書を発行します。それらをもとに保険の請求や様々な行政支援を受けることができます。しかし大規模な災害により被災者の申請件数が多い場合は、申請から発行まで数週間から1か月以上かかってしまうこともあります。これは1件1件、現地調査に赴くため物理的に致し方ないこと。ですが、被災者にとっては1日も早く元の生活に戻したいために、被害にあわれた翌日には業者を頼み、車の入れ替えや、畳の入れ替え、リホームの契約など動きが早く、罹災証明書を待つことなく自費で修復作業をすでに終えた方々もいらっしゃいます。
一方、被災証明書とは、自然災害により家屋及び家屋以外の工作物等、わかりやすく言うと、車や家財、物置、カーポートなど動産の被災事実を証明するものです。罹災証明書との違いは、被災の事実を証明するもので被災の程度を証明するものではありません。そのため申請すると即日発行され、イメージ的には「罹災証明書を申請中ですよ」「損害の程度はまだ認定されていませんが被災にあったことは事実です。」といった証明書であり一種の引換券のように思っていただければわかりやすいかもしれません。この証明書と写真、修繕にかかる見積書などを添付すれば、すみやかに保険の手続きや車の廃車や入れ替えなどが行えます。
そこで、質問です。
小山市では迅速に、被災者の総合相談窓口の開設や罹災証明書の申請受付を開始していただき感謝しておりますが、物理的に一定の期間を要する罹災証明書の発行までの間、何か被災にあったことだけでも証明する、被災証明書を発行していただくことはできないでしょうか?お伺いします。
◎大久保寿夫市長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。
小山市では、住家などの家屋、家具や自動車などの動産が被災した場合に、り災証明書を発行しており、このたびの台風第19号による大雨災害では、11月27日現在で671件発行いたしました。家屋に係るり災証明書については、内閣府で定めている災害に係る住家の被害認定基準運用指針に基づき、各種申請の際に必要となる被害の程度を記載するものであり、実際に現場を確認し、被害状況の判定をする必要があるため、受け付けから発行まで一定の期間を要しております。一方、被災証明書は、事例を確認したところ、災害を受けたことのみを証明するものであり、被災の程度を記載しないため、申請時に写真などで状況を確認できれば発行が可能とのことから、水没した自動車の廃車など、早急に手続を行いたい場合に適するものと考えられます。
このようなことから、住民に寄り添った災害対応とするべく、先進事例を調査研究し、被災証明書の導入について検討してまいります。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) 導入について前向きなご答弁ありがとうございました。被災者の生活の実態、現場の声を政策に反映していただけるよう、引き続きのご支援よろしくお願いいたします。それでは次の質問に移ります。
(2)公的証明書の手数料について
先の質問でお話した車の入れ替えやリフォームローン等各種金融機関との契約など、なにをするにしても公的証明書が求められます。車を廃車するにも、新規で買うにしても印鑑証明書が必要です。金融機関との契約、不動産の登記にも印鑑証明書が必要です。市営住宅の入居申し込みや各種変更登録には住民票が必要です。一通数百円の証明書でも数が増えればすぐに数千円、取りに行く移動費や手間、代行を頼めばすぐに数万円になってしまいます。罹災証明書の利点の一つに公的証明書の減免があります。この制度は、各自治体によって取り扱いが異なるのですが、全国でも公的証明書の無料発行などを被災者支援に取り入れている自治体もあります。
そこで質問です。
小山市でも公的証明書の減免制度を導入できないのでしょうか。お伺いします。
◎三柴智恵子市民生活部長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。
市民課及び出張所で交付する住民票の写しや印鑑登録証明書、各種証明書の交付手数料につきましては、小山市手数料条例に定められております。今回のように生活再建のために各種証明書が必要であることは認識しております。その場合の手数料につきましては、県内で減免をしている自治体はございませんが、神奈川県横浜市、相模原市、川崎市、長野県長野市等が手数料の減免をしております。
小山市におきましては、個人番号カードを使用しコンビニ交付とすることで、住民票の写し等各種証明書の交付手数料が50円安くなることから、コンビニ交付について推奨しているところでございます。今後も引き続き住民の方に寄り添った窓口対応をしてまいります。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) 県内では公的証明書の減免を実施している自治体はまだ無いとの答弁。コンビニ交付での減免はあくまでマイナンバー普及のための時限立法。横浜市、相模原市、川崎市、長野市等、先進地の事例を参考に、是非とも、県内で先駆けて導入していただけるように要望とします。
2.防災について
(1)治水に関する他自治体との協力体制について
治水。数ある自然災害の中でも、特に治水だけは、小山市単独でどうにかできるものではないと感じています。思川は、その源を足尾山地の地蔵岳に発し6市3町にわたる河川です。雨が降った時、日光市や鹿沼市のように山があれば傾斜を駆け降りるように水は下流に流れますが、小山市は県内で唯一山のない比較的平坦な土地柄です。勢いをつけて流れてきた水も平野に入れば広がります。それを防ぐためには、大雨時、上流部で水を逃がすなどの対策をとっていただくなど、思川流域全体での対策が必要と考えます。4年前の水害から様々な政策がとられてきました。田んぼダムや仮設排水ポンプ車の配置などなど。また昭和44年から進められてきた南摩ダム計画もそうです。もし完成すれば東京ドーム4杯分の貯水量を有し、思川流域、利根川流域における洪水被害の軽減にもつながります。しかし、公共事業は一朝一夕には完成しません。総事業費約1850億円、計画から完成まで51年間という莫大な時間と費用を費やします。このダムの完成予定は平成36年(令和6年)。あと5年。しかし、自然災害はいつ、どこで、何が起こるかわかりません。50年に1度の台風がまた来年来るかもしれない。ダムができれば絶対などとは思っていません。そもそものダムの建設目的は利水のためですが、先日国においてもダムの洪水調節についての緊急会議が開かれました。私たちも活用できるものは何でも活用し、考えられる対策はすべてとらなければなりませんが、市単独では限界があるのも事実です。小山市の政策で一定の効果が認められる田んぼダムなど、思川流域全体で連携協力してやっていただける様な体制づくりは整っているのかお伺いします。
◎古川幸一建設水道部長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。
思川は流域面積883平方キロメートル、延長77.8キロメートルの1級河川で、上流域は鹿沼市、日光市、宇都宮市の3市、下流域は壬生町、上三川町、下野市、栃木市、小山市及び野木町の3市3町です。上流域では思川の洪水調節等のため、独立行政法人水資源機構が鹿沼市に思川開発事業による南摩ダムを建設中であり、令和6年度に完成しますと、500万立方メートルの洪水調節容量があることから、流域の治水安全度が向上します。下流域では、戦後県内で最も早く、昭和26年に着手された国庫補助事業の県営広域基幹河川改修事業が実施されております。前者は思川開発事業を促進する栃木県南部水資源開発促進協議会を、後者は思川改修を促進する思川改修期成同盟会を関係市町により組織し、いずれも小山市長を会長として、国、水資源機構、県に堤防強化等の河川改修の強力な事業促進の要望を行っています。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) ありがとうございます。他の自治体と治水対策に取り組んでいただけるとのこと。思川流域全体での引き続きの協力体制の強化を、どうぞよろしくお願いいたします。それでは次の質問に移ります。
(2)地震による液状化リスクを示す盛土マップについて
火災が起これば火災の対策。地震が起これば地震の対策。水がでれば水の対策。どうしても人々の関心は、その時その時、リアルタイムの事柄に意識が傾いてしまいます。そんな時に想定外の自然災害に見舞われたなら、被害も拡大してしまいます。こんな時だからこそ水害以外にも意識を広げなければならないと思っています。
国は各自治体に対し、大規模な地震の際におこる地面(土地)の滑動崩落しそうな個所を把握するため、大規模盛土造成地の存在周知と防災意識を高めることを目的として、盛土マップの作成を指示しました。これは宅地造成する際、3000㎡以上盛土した場合と傾斜が20度以上かつ盛土高5m以上の個所をマップに落とし込んだものです。小山市には現在14か所の大規模盛土造成地がありますが、このマップを見た正直な感想は、見方がわからない。このマップを見て、どのように活用すればいいのかわからない。いざ地震が起きた時、自分がどのように行動すればいいのかわからないといったところが本音です。小山市は比較的平坦な土地柄のため滑動崩落被害までの可能性は低いかもしれませんが、考えられる液状化リスクなど、盛土マップの活用の仕方をお尋ねします。
◎淺見知秀都市整備部長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。
盛り土マップについては、国土交通省において地震時に盛り土造成した住宅団地が崩落する滑動崩落被害が多く発生した経緯を踏まえ、宅地の安全性の確保を目的に、平成18年に宅地造成等規制法を改正し、滑動崩落を防止するために必要な調査や工事等を支援する宅地耐震化推進事業が創設されました。これに基づき現在県において宅地造成に伴い大規模に盛り土した箇所、大規模盛り土造成地を県のホームページで公表しており、県内全体で該当地は312カ所あり、そのうち小山市内は14カ所です。
一方、この公表は危険な箇所を示したものではなく、大規模盛り土造成地の存在周知と防災意識を高めることを目的としたものであります。県とともに小山市は該当地について合同で調査を行いましたが、対策が必要な箇所はありませんでした。なお、現在県では概略の危険度調査を実施しておりますが、小山市内の14カ所は全て谷地を埋め立てしたものであり、急傾斜地に該当していないため、危険と判断される箇所はないと考えております。
埋め立て箇所の液状化対策については、市内該当地は開発行為により造成された場所であり、適切な工事管理を行っているため、液状化の可能性は低いと考えております。県内で液状化マップの公表を行っている自治体はなく、県は液状化対策を今後検討を要するものとして大規模盛り土造成地対策と並行し、調査準備を行っておりますが、県の調査の結果、市町で対応が必要となった場合は、適切に対応してまいります。
小山市としましては、今後の対策及び市民の皆様へのわかりやすい情報提供について、県と密に連携しながら進めてまいります。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) ありがとうございます。この盛土マップは危険地域を表したものではなく、単に大規模盛土造成地を示したマップに過ぎないということは理解しました。国が盛土マップを自治体に作成を要請した当初の目的は、液状化ハザードマップなどと同様、防災対策に生かすためでしたが、地価が下がる、住民の不安をあおるなどの理由で全国の自治体の3割しか作成公表しなかったために、着地点が大規模盛土造成地マップになったと認識しております。
したがって、目的はハザードマップ同様防災対策に活用できてこそ意味があると思っております。せっかく作ったのですから、是非とも、一般市民が見てわかる、防災対策に利活用できるマップへ改良していただけるよう要望とします。また、様々なハザードマップですが、自分の住んでいる地域、通勤ルート、通学ルートなど、その場所その場所で気を付けなければならいことなどを調べるアプリも沢山存在します。気象庁や国土地理院などのアプリもそうですが、民間でも水害・液状化・噴火・津波・道路情報・土砂災害などを航空写真と昔の古地図、町の成り立ちなど様々な情報を重ねるハザードマップというものも沢山あります。市民の関心は、有事の際、自分は何をすればいいのか?どう行動すればいいのか?今いる場所の対処法です。行政でも、優れた民間の知恵は取り入れ、今後のハザードマップの作成に生かしていただけるようお願いし、質問に移ります。
3.小山市公共施設等マネジメント推進計画について
(1)マネジメントの方針について
人口減少社会、今ある公共施設をどのように維持していくのかが大きな課題となっている昨今、施設の集約、複合化、売却等により施設の保有量の大幅な削減。民間への貸し付けなどのランニングコストの削減。耐震化など長寿命化策を講じ財政負担の平準化を図るなど、市民への負担を軽減し、なおかつ利便性も維持しなくてはならない、大変重要で難しい政策だと認識しております。バラバラに点在する施設を集約し、今までの施設は売却。そうすれば全体的な公共床の面積は減らせ、売った売却益を他の施設の管理維持費に回せる。一石二鳥のようにも感じるのですが、同時に少しの不安も抱きます。それは、これらの計画すべて、売れることが前提、借り手が見つかることが前提で作成されている点です。公共施設は日用品や居宅用不動産とは違います。そんなに簡単に買い手や借り手が見つかるのだろうか?もし見つからなかった場合はどうしていくのか?併せて一緒に考えなくてはならないことだと思っております。もちろん契約は交渉事なので、公に手の内をさらすようなことができないことは十分承知しておりますが、庁内での話し合い、議会との話し合いの場では、例えば、5年たっても10年たっても売れなかった場合はこうしていきたい、それでも難しい場合にはこうしていきたいなどの説明があってもいいのではないのかと思っております。マネジメントの方針について、この点をどのようにお考えなのでしょうか?また、公共施設の統廃合はものすごくデリケートな部分もあり、市民の理解を得られなければ、なかなか進みません。この点についても併せてお伺いします。
◎小林功総務部長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。
平成30年1月に策定いたしました小山市公共施設等マネジメント推進計画は、今後老朽化に伴い大規模な改修や建てかえの時期を迎えようとしている多くの公共施設について、保有面積の大幅な縮減を実現し、将来における施設の改修や維持管理に係る費用を縮減しようとするものです。統廃合等により余剰となる公共施設及び施設用地につきましては、売却を基本とし、庁内組織である土地利用対策委員会において売却益や売却の可能性などを総合的に判断しながら処分方法を決定しております。その後、売却手続を進めた結果、買い手があらわれない等、売却に至らなかった際には、新たな売却手法の検討のほか、民間等への貸し付けや他施設の集約先としての利用など、有効な利活用法を検討いたします。
また、施設の維持継続の希望があった場合ですが、そのような市民の皆様に対しましては、廃止に至った経緯や将来的な財政負担の軽減の必要性等について理解をいただくことが必要であることから、今後も施設を所管する部署が、地域住民に対して説明会を開催するなど、あらゆる機会を通じて情報提供や粘り強い説明を行い、合意形成を図ってまいります。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) ありがとうございます。民間の場合は、新規事業や助成金申請、融資を受ける時など、必ず事業計画書を提示し、プレゼンする時には、この計画の実現可能性と併せて,もし計画通りにいかなかった場合の第2、第3のプランを提示し相手方の理解を得ようと努力します。
計画の成功と失敗は背中合わせ、議論は必ず併せて行うからこそ、その計画の信ぴょう性や実効性が上がるのではないのでしょうか?と私見を申し上げ、次の質問に移ります。
(2)判断基準とガイドラインについて
この公共施設等マネジメント推進計画には、現公共建築物の再配置の方向性も示されています。移転、売却、廃止など。計画の必要性や執行部の説明、市としての方向性は十分に理解ができますが、私たちにはその説明の妥当性を判断するだけの判断材料が少ないように感じます。議員は市民の代弁者でありますが、市民全員から均等に話を聞くことは、個人としては限界があります。どうしても出会えた人、伺えた人の話だけを集約してしまうと、どうしても偏った意見の集約になってしまいます。スポーツ施設などはどうしても利用者や各種協会の意見が多く聞こえてきますし、公民館などの施設は、どうしても地元の声が大きく聞こえてきて、市民全体の平等性、公平性を保てているのかいつも自問自答しています。
できれば、文化施設やスポーツ施設など、その性質別に、なにかガイドラインのようなものがあればと望んでいます。例えばスポーツ施設を一例に挙げれば、16万7000人の人口を誇る小山市において、競技人口が何人で、利用者がどれくらいで、施設の稼働日数がどれくらいになったなら、縮小や移転、他の自治体と施設の相互利用を考えるなど、協議のテーブルに挙げる時期を示したガイドラインなど。一律の規定にしてしまうと少数の声が聞こえづらいなどの不利益が出る可能性がありますが、私が申しあげるのは見直し規定ではありません。見直しの判断材料として、このようなガイドラインがないと、その計画の妥当性を判断することが難しい。全体の需要量がわからなければ供給量も読めないという、これは素朴な疑問です。
文化施設は文化施設で、スポーツ施設とは性質が全く異なるものです。単に人口密度でラインを引いてしまうと過疎地には公共施設がなくなってしまう恐れがあります。その場合には人口ではなく、利用率を重視するなど様々な視点で測ることもできるはず。市の政策説明の妥当性を判断するための判断材料として、市民全体の利用率や稼働率などの統計や性質ごとのガイドラインなどを提示できないかお伺いします。
◎小林総務部長 小山市公共施設等マネジメント推進計画におきましては、新庁舎に集約される施設や新しい市民交流センターに機能を移転した後の旧公民館など、機能が重複となる施設については原則廃止と定めており、市民全体の利用率や稼働率、性質ごとの数的基準などは設けておりません。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) 会派では、見直し規定ではなく、判断材料の一つとして、性質ごとのガイドラインがあったほうが良いと考えています。判断する際の根拠、平等性、公平性の担保。1つでも多くの判断材料をいただけるように要望します。
4.教育行政について
(1)英検・漢検・数検・内申書について
受験シーズン真っただ中のお子さんを抱える保護者にとって、この時期はお子さん同様、緊張感のある生活を送られていることと思います。勉強するのも、頑張るのも本人。家族は見守り、応援することしかできません。この時期は各学校三者面談などが行われ、進路について話し合われますが、保護者の関心は内申書の内申点を気にされている方々が多いようです。栃木県教育委員会のHPを閲覧すると、内申書となる調査書作成の要領には、評価の具体的な例が記載されています。これらを拝見すると、学習の評価のみならず、特別活動や部活動などの校内活動やボーイスカウトやガールスカウト等の校外活動など、総合的に評価されているのだなと感じました。また、その他の教育的活動の中には、英検3級以上、珠算3級以上等様々な資格・検定の取得が記載されていますが、この等には(数検・漢検・英検といった)三大検定の取得級に応じて内申点に加算される基準があると理解してよろしいのでしょうか?そもそも調査書とはどのような性質のものなのか?受験においてどのくらいの影響力があるのかお伺いします。また、不登校などのお子さんを抱える保護者から相談を寄せられるケースもあるのですが、調査書の基準がわからないと不安になられておられます。県によっては、出席率が20%に満たないと通知票で1も付けてもらえないとか、都道府県ごと、学校ごとに様々な情報がネット上飛び交っていますが、どの情報が正確なのかわからず、文科省に問い合わせてみると、文部科学省の見方は少し異なるようで、同省児童生徒課は「出席率が必ずしも評価の要件になるわけではない。最終的には学校長の判断だ」と説明。県教育委員会としては、「評価は出席日数が全てではない。学習指導要領に基づく内容にどれだけ到達しているかを各学校が判断している」と示したうえで、教育現場は客観性や公平性を強く意識しており、教師が授業を受けない生徒を評価するのは難しいが、近年は自宅学習やフリースクール、別室登校でも、それぞれで取り組むテスト結果や学ぶ姿勢などを積極的に評価する傾向にあるともおっしゃっています。
そこで、登校・不登校児の内申書の取り扱いについても併せてお伺いします。
◎酒井一行教育長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。
栃木県教育委員会では、栃木県立高等学校入学者選抜の出願に必要な書類として調査書を上げております。調査書には3年間の学習評価や特別活動の記録、さらには出欠状況等を記載してございます。また、英語検定、漢字検定、数学検定などの記録につきましては、校外活動の欄に3級以上の成績の場合、記入することができることになっております。各学校におきましては、作成要領に基づいて学習や学校生活、また校外活動などの状況について、出席日数にかかわらず生徒のよさが確実に伝わるように記載してございます。
栃木県立高等学校の入学者選抜は、2段階審議で行うとしてございます。第1次審議におきましては、当日の学力点と調査書の評定点との合計点の上位から定員の8割が選抜されます。学力点と評定点の比率は各学校ごとに定められており、9対1から5対5と幅がございます。また、第2次審議では、検定などの記録を加えて総合的に判断をし、残りの2割を選抜するとしてございます。
小山市教育委員会では、学校に対しまして進路指導の充実を図るよう指示するとともに、正確な情報伝達に努めてまいります。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) ありがとうございます。登校不登校にかかわらず、すべての生徒が総合的に評価していただけるとのこと。また、三大検定も3級以上は評価の対象となり、また、内申書の受験に占める割合は9:1から5:5まで各学校によって取り扱いが違うとのこと。進路指導の際には、それらの説明を生徒だけではなく、保護者の方々にも丁寧に説明していただけるようにお願いいたします。それでは次の質問に移ります。
(2)全国統一テストについて
全国統一小学生テスト、全国統一中学生テスト。今現在の自分の立ち位置はどのへんなのか?自分の弱点はどこなのか?または、テスト慣れするためには場数を踏まなければなど、様々な理由から毎年15万人以上の生徒が全国統一テストを受けています。子供たちは色とりどりの夢を描いていますが、真っ白のキャンパス。地図や羅針盤がなければ迷子になることも、不安になることもあります。しっかりと目的地に進む為には、現在地がわからなければ目的地までの道のりも、手段もわかりません。私見ですが、受験生にとっては有効な学習方法の一つだと思っております。何よりも受験料が無料。誰でも受験ができ、到底無料とは思えないぐらいの分析結果を通知していただけます。ですが、三大検定同様、学習塾ごとに申し込みをされている方々がほとんどで、個人で申し込みをされる方は少ないようです。その理由の一つにテストの存在自体を知らない、申し込みの方法がわからないなど、保護者の情報量に大きな開きが見られます。
そこで質問です。
教育とは、子供たちに様々な機会、チャンスを平等に与えることも一つの役割ではないのかと考えています。受ける受けないは個人の自由ですが、せめてこのようなテストや検定があることくらいは学校でお知らせすることはできないのでしょうか?
◎酒井一行教育長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。
全国統一テストとは、民間が主催をし、学習塾を会場として、全国一斉に行われる学力テストであり、テレビCMや広告等で広く募集が行われているものと認識をしております。学校では、特定の企業などが広告をしております情報を取り出して提供することは、公共性を保つ観点から差し控えさせていただいてございます。小山市教育委員会といたしましては、各学校に対し公平性を保ちながら子供たちに有用な情報を提供すること、生徒の適性を踏まえながら主体的に進路を選択できるようにすること、そして面談の際、丁寧に説明することなど、引き続き進路指導の充実について周知をしてまいります。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) ありがとうございます。民間の利活用の話をすると、どうしても「あ、業者さんがやってるやつね」という反応を取られる姿を目にします。もちろん行政が特定の民間企業を斡旋することには問題がありますが、不特定多数の様々な情報をお知らせする程度は、そこまで公共性を脅かすものとは思っておりません。保護者にとっては、予備校や塾の講師、お稽古ごとのお師匠さんまで、子供にかかわる人は教職員同様、みんな教育者であり、先生なのです。それぞれプライドと使命感を持って子供たちの将来を考えています。どうか企業イコール営利目的とくくらず、良いものは良いで、参考にしていただき、情報の提供、子どもたちの機会の平等などについても取り組んでいただけるようお願いいたします。それでは、最後の質問に移ります。
5.行政経営について
AIの導入率についてお伺いします。人口減少社会、人材不足による働き手の確保は全国共通の課題となっております。そこで近年、RPA(ホワイトカラーの間接業務を自動化するテクノロジーで、ルールに沿って、単純に作業をこなすのが特徴)やAI(大量のデータをもとに分析し、結果を出力するのが特徴)を行政においても導入し、業務の効率化を図る傾向がみられてきました。一例をあげれば埼玉県さいたま市などは、固定資産税調査の航空写真の照合や保育所の入所をAIに任せ、業務の効率化、人為的ミスの削減など大きな成果を上げていると伺っております。
そこで質問です。
小山市のAIの導入状況についてお尋ねします。
◎小林功総務部長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。
小山市ではAI等の情報通信技術の積極的な活用により、事務の簡素化、効率化を進めています。具体的には、定型的な業務はAIやRPA等のICT技術を活用することで、職員でなければできない企画や相談等に業務をシフトし、行政サービスの充実を図ってまいります。昨年度は職員が行った保育園などへの平成30年4月入所選考結果とAIマッチングの選考結果の乖離状況を検証したところです。今年度はその検証した結果をもとに、保育所入所基準を点数化する指数表の細分化などを行い、乖離の縮小を図りまして、来年度からの本格運用を目指し、準備をしているところでございます。
また、本年度は手書きの申請書をもとにデータを読み取り、AI、OCRの実証実験を行っており、その結果から費用対効果が見込まれる業務に対しまして、順次導入する予定でおります。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) この質問の趣旨は、書店に行っても、テレビをつけても、巷ではAIにいつか仕事を奪われる。将来なくなる職業ベスト○○など騒がれていますが、私はいつの時代になっても絶対に人間でしかできない仕事、人でなければ応えられない仕事があり続けると思っています。行政の部署も同じく物理的な作業はテクノロジーをもって対応し、絶対にマンパワーが必要な部署に人員を回す。人とAIが競うのではなく、得意分野の棲み分けをする、活用することがテクノロジーの使い方だと思っております。費用対効果を中心に議論をすると、開発費用分の人件費の削減を対に考える方もいますが、介護・医療・福祉・人権擁護など、どれも今よりもっと需要が拡大し、マンパワーが必要になると予測されます。必要な部署に必要な人員を。AIを最大限活用し業務の効率化を図り、マンパワー不足の部署に人員を一人でも多く配置できるよう要望し私の質問を終わりにします。
ありがとうございました。