令和2年12月小山市議会定例会、一般質問を公開しました。
令和2年12月小山市議会定例会 一般質問内容
●議席番号9番、おやま創生会の土方美代でございます。ただいま議長の許可をいただきましたので通告に基づき市政一般個人質問をいたします。
まず初めに、
(1)令和3年度予算編成方針について
事業の「選択と集中」「費用対効果」についてお伺いします。
予選編成方針の中で、令和3年度市政運営の基本方針、速やかな財政再建と題して、すべての事業において費用対効果や緊急性等について検証し、限られた財源を有効活用できるよう、事業の「選択と集中」を図るとともに、不測の事態にも十分対応できるよう、速やかに財政の健全化に取り組むとありました。私はこの「費用対効果」「選択と集中」という言葉が行政から発せられたことに、ものすごい衝撃を受けました。
これらの言葉は、民間企業ではあたりまえのことであり、これらを基本に事業計画を立てますが、今まで行政側の事業説明や様々な研修会にて私が感じてきたことは、費用対効果を考えて採算の取れる事業は民間が行うが、採算がとれない、それでも必要な事業を行政が行うものであり、選択と集中に関しても、広く浅くとまでは言いませんが、全市民が公平にその恩恵が受けられるように考えるもの、正直、行政に対して使ってはいけない言葉なのではないかと感じていました。その自身の民間感覚と行政の感覚との温度差にこの6年間葛藤してきましたが、新型コロナによる大幅な減収もあってのことかもしれませんが、はじめてこの言葉を行政から聞きました。これからの自治体のあるべき姿を問うた時、絶対に必要な考え方だと思います。
そこで質問です。
小山市の考える「費用対効果」「選択と集中」とはどの様なものか?その基準についてお伺いします。
◎浅野正富市長 皆様、おはようございます。それでは、ただいまのご質問にお答え申し上げます。
費用対効果につきましては、民間企業であればどれだけ費用をかけて売上げや利益があったかでその事業の効率性を図ることになりますが、行政の施策においてはセーフティーネットの役割がある扶助費のように、効率性の面からのみ効果をはかることが難しい事業が数多くあります。一方、近年は行政の施策においても最少の経費で最大の効果を上げることが求められていることから、小山市においても民間企業的感覚に立ち、中長期的な視点で費用対効果を検証する必要があると考えております。
また、選択と集中につきましては、特に令和3年度の予算編成において新型コロナウイルス感染症の影響により一般財源総額の大幅な減収が見込まれることから、費用対効果に加え、緊急性等についても検証を行うことで、中長期的な視点で事業の優先順位を設定し、重点化を図ることにより効率的に事業を推進してまいりたいと考えております。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) それでは再質問いたします。
例えば公共施設の市立体育館や市民交流センターなど、使う人は何度も使いますが、使わない人は生涯一度も使用しません。そのため箱もの行政反対と考える市民もいますが、その施設を必要だと感じる市民も同じだけいます。そのような現実社会において、行政から「あなたが使わなくても、もしかしたらあなたの子どもが使うかもしれない。もしかしたら、あなたのお孫さんたちが使うかもしれない」という{かも・しか論}で説明されても、新型コロナ感染拡大の中、経済の低迷や失業率の増加により、今日の生活がいっぱいいっぱいの方々を説得するには{かも・しか論}では弱すぎます。ある程度の受益者負担、せめて電気・ガス・水道・人件費などの最低限の施設管理の固定費、ランニングコストを利用料で補えるように使用料を設定するなどしなければいけないのではないかと感じています。
受益者負担を基本とした公共施設の使用料の見直しをすることによって、現在計画中の事業の廃止や延期を緩和できるのではないかと考えますが、市の考えをお伺いします。
◎坪野谷統勇総合政策部長 ただいまの再質問にお答え申し上げます。
公共施設の使用料につきましては、小山市使用料手数料等設定基準を定めておりまして、土地、建物及び備品や経常的維持管理費等により原価の算定を行い、これに行政サービスの種類に応じて4段階に区分されている受益者の負担割合を乗じて使用料を算出しております。この算出されました使用料につきまして、庁内の小山市使用料手数料等審査委員会において審議を行った後、市議会議員や学識経験者で組織しております小山市使用料手数料審議会に諮問し、審議会での審議を経て答申された使用料を条例に定めているもので、受益者負担の考え方に基づく設定方法となっているところです。
一方、小山市使用料手数料等設定基準につきましては、平成9年の施行後、平成19年の見直し以降は見直しを行っておりませんので、利用する者と利用しない者の均衡、公費負担をどのようにするかなどの観点を踏まえ、他市の状況も参考に見直しに向けて研究をしてまいりたいと考えております。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) 平成19年ということは、もう13年間見直しを行っていないということ。
この度、見直しに向け行動を起こすという前向きな答弁ありがとうございます。毎年発表される物価スライド指数やコロナ禍での景気の動向を考慮しての見直しをお願いするとともに、全市民の理解が得られるよう、公共の福祉を鑑み、公正公平な受益者負担の考え方について再検討してくださるとのことよろしくお願いいたします。
(2)小山市総合計画について
1.市民との対話と連携についてお伺いします。
現在進行形で第8次小山市総合計画が作成中ですが、今回のまちづくりの基本理念は、市民との対話と連携・協働による「田園環境都市 小山」を未来につなぐ持続可能なまちづくりと題しています。民主主義の基本は一人ひとりに与えられた思想や表現の自由など、権利としての対話にありますが、物理的に小山市16万7千人の意見を聞くことは不可能です。そのためのわが国では間接民主主義という手法を取っているわけですが、小山市では各自治会などと市政懇談会などを通して、自分たちの地域の問題や課題を行政へ要望し、住みよいまちづくりを今日まで行ってきたのだと思っております。一方、他県からの移住者や転勤者、外国人など、市民の構成比が昔と違い様々な人で構成され、必ずしも自治会に加入されている方ばかりではなく、地域に知人友人がいない方もいらっしゃいます。そのような昨今、自治会を通さず、個人や数名の有志があつまったグループの意見は、なかなか取り上げていただけない印象も持っております。声の大きい人、業界団体、自治会などの声がどうしても強く影響し、名もなき市民の小さな声をどのように拾い上げていくか、私自身毎日模索しています。
そこで質問です。
小山市の考える市民との対話とは、どの程度の規模なのかをお伺いします。
◎坂本幸江秘書広報課長 ただいまの質問にお答え申し上げます。
現在策定中の第8次小山市総合計画につきましては、市議会議員や各層の有識者で構成される策定懇話会のご意見をいただくほか、市民意向調査を実施し、幅広い市民の声を聴取するとともに、特に若い世代の女性に多くご参加いただき、策定市民会議を開催し、施策についてのご提案をいただくなど、できる限り多くの市民の皆様の意向に沿った計画となるよう努めているところです。また、議員ご指摘のまちづくりの基本理念では、市民との対話と連携、協働により持続可能なまちづくりを推進することから、その取り組みの一つとして市民の意見を聞き、意見交換するための市民フォーラムの開催を検討しております。開催方法については、市自治会連合会各支部単位での開催はもとより、特定のテーマに対して市民が参集して意見交換するほか、学校訪問等誰もが参加でき、開催地域等にこだわらない形式を柱に据えます。そのような中、新型コロナウイルス感染症の感染状況に注視しつつ、令和2年度末を目途に市民フォーラムテーマ版の開催を目指してまいります。
そのほかメール、手紙など様々な形で寄せられました市民の皆様の意見を聞き、きちんと答え、説明し、意見をキャッチボールさせていただくプロセスを大切にするためにも、皆様との対話を重ねていきたいと思います。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) パブコメをみても、市民会議をみても、どうしてもごく一部の方々の意見が色濃く感じ、日常生活に不自由を感じていても、何も意見を言わない、行動をおこせない方も大半のようにも感じております。「不自由も常と思えば、不足無し」いい言葉ですね。しかし現在の社会ではその言葉を、「どうせ言っても世の中変わらないと」あきらめている方が使われることを私は非常に残念に思います。やはり、そういった方々にアプローチをこちら側から起こすことが、市民にやさしいまちづくりにつながるのではないのでしょうか?ただいまの答弁の中、市民とのキャッチボールという表現がございました。本当に嬉しく思います。対話の基本はキャッチボールであり、ぶつけっぱなしのドッチボールであってはなりません。受けての準備が整っていないのに、一方的に投げつけたり、明後日に向かって投げたなら受け取れません。ボールは人の想いです。受け手に合わせた高さ、強さ、速さを考えてボールを投げる。それこそ相手を尊重した、誠実な対話だと私は思っています。そのことを踏まえ次の質問に移ります。
2.行政ADRの導入についてお伺いします。
この件は過去2度にわたって質問させていただきましたが、あれから6年、この度、先ほどの答弁でもいただきましたが、市民の意見を聞き、説明し、対話というキャッチボールをさせていただく、そのプロセスを大切にしていくとありました。
大切なのは、問題が生じたときに対立しあうのではなく、同じ課題を乗り越えるクルーとして対話を重ねる。物理的な問題解決が後回しになっても、そこに至るまでのプロセスによって、人は心が納得するものです。そのプロセスを軽視すると、行政に不満を抱き、残念ながら未だに窓口で怒鳴っている市民もお見受けします。
でも、プロセスを大切に、ともに合意形成を図れば、行服や訴訟などの紛争を回避できるのではないかと私は考えます。
そこで、質問です。
行政ADRの必要性についてお伺いします。
◎小林功総務部長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。
市民の方からの不満や苦情を一括して受け付けます専門の窓口の設置状況につきましては、県及び県内他市いずれの自治体におきましても、小山市同様、専門の窓口は設けておらず、担当課が対応している状況でございます。市民の方と市担当課との間に行き違いがあり、意見の相違が生じた場合、業務的に中立的な立場で相談を引き受ける専門窓口がありますと、市民の方も納得した上でのトラブル解決が期待できるところではありますが、専門窓口の設置につきましては、市民の方と市担当課の双方が安心して話し合える環境の整備や問題点の整理、対話の促進など当事者間において合意を見出す必要が求められますことから、専門窓口職員には相当な精神的負担がかかると考えられます。そのため、従事できます知識と精神力を身につけた人材の確保や予算措置あるいは育成が必要でありまして、また市が設置した組織となりますと、市民の方から中立的な窓口とみなされないおそれもありますことから、設置には解決すべき課題もあると考えております。
しかしながら、このようなトラブルの当事者である市民が納得した上での解決を図るための手段を講じる努力は必要でありますことから、今後におきましても活用法等につきまして研究し、併せて現在も実施しております傾聴力や説明力、コミュニケーション力などの向上を目的といたしましたクレーム対応研修や接遇研修等を継続的に実施することによりまして、市民対応力や市民満足度の向上を図ってまいりたいと考えてございます。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) 執行部のおっしゃる通り、行政内部にADRセンター等の窓口を設置した場合、市民から見て公正中立性に欠けるのではないかという不信感を持たれる可能性もあります。しかし、私が申しあげている行政ADRの導入とは、物理的な窓口の設置を要望しているのではなく、職員の意識改革の問題でした。誠実な対話とそのプロセスこそがADR法の要です。例えば不法投棄や違法転用など、問題解決にあたっての一方的な許可・不許可・是正命令など、誰だっていきなり行政から改善命令等の通知がくれば、びっくりしたり、怒りを覚えます。
対立関係ではWIN-LOSEの答えしか出ません。対話による合意形成によってこそWIN-WINの関係が図られるのです。本質問の趣旨はそこにあります。
私の想いが届くまで何度でも質問します。どうか行政と市民との温度差を対話によって縮めていく努力をお願い申し上げ、次の質問に移ります。
3.福祉行政について
①福祉サービスの在り方についてお伺いします。
予算編成方針の中で、「費用対効果」の文言がありましたが、費用対効果で申し上げたら福祉サービスは一番採算の合わない事業です。そこで最初に私見を申し上げさせていただきますが、行政が行う福祉サービスとは、市民にとって最後の砦となる、社会のセイフティーネットであり、決してサービス業ではありません。中には過剰なサービスとも思える事業もありますが、憲法25条が保障する健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、これらを守るために行政サービスがあると思っております。したがって、どんなに財政的に困窮しても、けっして申請要件のハードルを上げてはいけないものです。その一方、どんなに素晴らしい制度であっても、必ず一定数の方はその制度を悪用します。100人中99人が助かるならその他一部は仕方ないと考えるのか?あるいは、その一部を取り締まるために、99人の利益を損なうのか?
私が考える福祉サービスの在り方とは、どんなときも申請要件、ハードルをあげてはいけない。但し、悪意を持った不正受給は徹底的に取り締まるべきだと思っております。
そこで、小山市が考える福祉サービスの在り方とは、どのようなものなのかお伺いします。
◎雲井富雄副市長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。
議員ご指摘のとおり、行政による各種福祉サービスの提供は、たとえ厳しい財政運営が迫られている状況におきましても、子供から高齢者、障がい者まで誰もが安心して健康で文化的な生活を送るためのセーフティーネットとして必要不可欠な取り組みでございます。今後も費用対効果を検証し、限られた財源の中で効率的な行政運営を心がけながら市民ニーズに対応するため、真に必要な福祉サービスにつきまして引き続き充実を図ってまいります。
あわせて、各種福祉サービスの適正実施についてさらに慎重な検証に努めるとともに、自ら助けを求めることや制度を使いこなすことが難しい状況の方にも必要な情報や支援が届くよう積極的に相談支援体制の構築を図ってまいります。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) これは要望ですが、福祉サービスに関連する窓口は、ある程度「性善説」で対応していただきたい。そしてその後の不正受給などの取り締まりは、民生委員や行政職員ではなく、プロに委託してもいいのではないかと感じています。どうかハードルを上げることのないようにお願い申し上げ、要望とします。それでは最後の質問に移ります。
②成年後見の市長申し立てについてお伺いします。
この件も以前から質問させていただきましたが、判断能力が低下された方の権利義務を守るための後見制度ですが、申し立てをしてくれる家族や親類がいない場合、または協力していただけない場合、市長が代わりに申し立てできる制度です。しかし制度開始からずっと、小山市の実績報告では0件や1件といった数字が続き、6年前に質問させていただいた年は6件となりましたが、その後、年々元の1件に戻りつつあります。
病院も施設も、現場の人間はその必要性を強く訴えているのに、この申立件数の低水準は、余程ハードルが高いか、使い勝手が悪いかのどちらかのように感じますが、市の見解をお伺いします。
◎浅見貴幸保健福祉部長 ただいまのご質問にお答え申し上げます。
成年後見制度は、認知症、知的障がい、精神障がい等で判断する能力が十分ではない方の権利擁護のための制度で、親族等による成年後見制度の申立てができない場合に市長申立てを行うことができます。市長申立てにつきましては、老人福祉法等に規定されるその福祉を図るため、特に必要があると認めるときに基づき、小山市成年後見制度利用支援事業実施要綱により本人に4親等以内の親族がいないあるいはいても音信不通の状態にあることを利用要件としているところです。
次に、小山市ではさきの利用要件にかかわらず、本人の保護を図るために必要な場合は、民法で定める4親等ではなく、平成17年厚生労働省通達により、2親等以内の親族としております。その理由としましては、親族調査等の期間を短縮することにより、迅速に市長申立ての適否等の判断ができるようにするためでございます。
また、直近5か年の成年後見制度の市長申立ての利用件数としましては、平成28年度6件、平成29年度3件、平成30年度3件、令和元年度が2件、今年、令和2年11月末現在は1件となっております。
以上、よろしくお願いいたします。
●3番(土方美代議員) 以前の答弁と全く変わらないのですが、そもそも4親等だろうが2親等だろうが、協力してくれる人が一人もいない、身寄りがないから行政に相談に来るわけです。病院だって、施設だって、散々親族に面会やお金の相談のため電話をしたり、手紙を書いたり、時には訪問までして必死に説得します。それでも門前払いにあい、最後の頼みの綱として行政に相談に来るのです。なのに、相談に来てから、行政が1から親族調査や説得を試みるのでは、現実問題、時間がかかりすぎます。今困っている人に半年1年待ってくださいなんて、待てるわけがないのです。だから申し立てに至るまでにお亡くなりになられたり、悲しい事件が起きるのです。
待ってる半年と、待たせている半年は、時間の長さが違うのだということを感じてください。成年後見の市長申し立てにあたっては、相談から申し立てまでの迅速な対応を強く要望します。
最後に一言、
私はここに行政とゼロサム交渉するために立っているわけではありません。有識者でも著名人でもない、普通の市民が日々感じている実際の現場の生の声を届けるために私は立っています。どうか少しでも行政サービスと現場の声の温度差が縮まることをお願い申し上げ、私からの質問を終わらせていただきます。以上、ありがとうございました。