令和4年12月小山市議会定例会、一般質問を公開しました。

令和4年12月小山市議会定例会

 

令和4年12月小山市議会定例会 一般質問内容

●議席番号9番、おやま創生会の土方美代でございます。ただいま議長の許可をいただきましたので、通告に基づき会派代表者質問をいたします。

1.農業政策について
(1)農地法第18条について

まずはじめに、通告の出し方がわかりづらかったですね。農地法第18条は農地の賃貸借の解除のお話です。皆様も身近で聞いたことありませんか?「最近、年のせいか、畑仕事がおっくうになっちゃって、誰でもいいから借りてくれないかな。」とか、「ただでもいいから草だらけになると人に迷惑かかるから、うなってくれる人いないかな?」なんて寄合や井戸端会議で愚痴をこぼされる方々がいらっしゃいます。このような口約束で賃貸借契約が結ばれ、(あ!本当は3条の手続きをしなくてはならないのですが・・・)借主も高齢化が進んで、「悪いけど返すわ」なんてケースも多々お見受けします。

農地法第18条通知令和2年が172件に対し、令和3年では223件。この数字を私は氷山の一角だと思っています。先ほどお話しした通り、正規の手続きを踏んで結んだ契約ではないものも多くあると肌で感じており、個人的にはこの数字を大変危惧しておりますが、小山市農業委員会ではこの数字をどのように捉えているのか所見をお伺いします。

◎農業委員会事務局長  只今のご質問にお答え申し上げます。農地法第18条通知について説明いたします。 この通知は、農地法第3条、及び農業経営基盤強化促進法第18条の規定により、 農業委員会総会の議決を経て、賃貸借を行った農地について賃貸借の合意解約がなされた場合に、当事者双方が署名して、農業委員会あてに通知を行うものであります。 令和2年、令和3年の農地法第18条通知による合意解約後の農地利用動向は、約75%が農業経営基盤強化促進法によるものを含む耕作者変更、及び農地中間管理事業移行に伴うもので、引き続き良好な農地として利用されていると考察いたします。 これに対し、他の約25%が病気・体調不良等耕作者都合によるもので、直ちに耕作放棄地化する恐れはありませんが、 地元農業委員、農地利用最適化推進委員と連携しながら、 良好な農地が保全できるよう注視してまいりたいと考えております。
農地の賃貸借に関しましては、当事者間で行っている事例もあり、このような場合、 農業委員会で農地の権利利用関係が掌握できず、農地利用最適化推進の取組みに影響を及ぼすほか、当事者間において、民事上の紛争やトラブルが発生することも危惧されます。 また、 耕作放棄地発生防止の観点からも、農業委員会窓口で所定の手続きを行うよう、農業委員会だよりや市ホームページ等により、お知らせしているところですが、 今後も、ホームページの掲載方法を改善するなどの方法で、 啓発、 周知を広めてまいりたいと考えております。
以上、よろしくお願いいたします。

 

●3番(土方美代議員)  ありがとうございました。ただいまの答弁でもありましたように、当事者間で行っている農地の賃貸借に問題があるという認識を持たれていることは理解できました。

では続けて、
(2)新規就農についてお伺いします。

以前より、新規就農の要件の緩和はできないか?お尋ねしてきましたが、やはりハードルが高いままであります。3つのハードル、下限面積、技術の習得、当面の資金繰り。補助金や支援があったとしても、いきなり50aの広大な土地を手に入れて、技術の習得のために学校や現場で実務経験を積む、そして、初期投資を含め食べていけるようになるまでの生活費の工面。これらはすべて、現在の職業を続けながら、傍らで始めることはできません。脱サラしてオールインでやる覚悟がなければできません。もちろん、行政としても家庭菜園の延長線上で農業を始められたら、そのあとが困る。双方の言い分は十分理解しているつもりです。また併せて、農業従事者にとってはハードルではなく当然のことだと思われているとは思いますが、商人や会社員にとっては感覚が違うのです。

そこで農業をしたことのない人の側に立って質問いたします。
この3つのハードルの要件緩和や支援について市のお考えをお伺いします。

◎農業委員会事務局長  はじめに、 新規就農についてのご質問のうち、農地取得下限面積について、ご説明いたします。この下限面積要件とは、 農業経営を効率的に行うために最小限必要とされる農地面積で、北海道が20,000㎡、 栃木県を含むその他都府県が 5,000㎡と規定され、 この面積に達しない場合は、 農地法第3条による申請が許可とならない制度です。 この制度が新規就農の促進を図るなどの観点から、令和5年4月に廃止される予定となっております。この改正の趣旨は、新規就農者が就農当初にまず小規模農地を取得し、農業経営が軌道に乗った時に、本格的に農地を拡大してもらうことで、地域の農業者定着を図ることを目的としています。 このため、下限面積廃止後においても、 農業経験、知識・技術、農機具の確保、資金計画、農業経営計画等について一定条件を満たしているのか、引き続き審査することになります。 いずれにしても、新規就農にあたっては、高い就農意欲が求められるところです。
以上、よろしくお願いいたします。

◎浅野市長  只今のご質問のうち、農業技術の習得等、 市の支援内容について、お答え申し上げます。新規就農においては、農地の取得以外にも準備や検討すべきことがあり、技術指導や経営指導については農業協同組合や農業振興事務所が、 また、 認定新規就農者の認定や補助金等の支援については市が担っており、 相談内容に応じて、 市がこれらの関係機関等と緊密な連携を図り、 就農相談から経営開始、そして経営の安定化に至るまでの一賞した支援体制を構築しております。
また、安定した農業経営を実現する上で、最も重要である栽培技術や経営ノウハウの習得を支援するため、本年4月にJAおやまや県、関係市町、農業委員会からなる「JA おやま新規就農塾推進協議会」 を設立し、 新規就農希望者を対象に令和5年4月からの研修生の受入に向け、現在準備を進めているところです。
今後も引き続き、相談から経営開始、経営の安定化に至るまで、 関係機関が一体となって、 就農希望者のニーズに応じた総合的な支援を行ってまいります。
以上、よろしくお願いいたします。

 

●3番(土方美代議員)  前回石島議員の質問のご答弁であったように、令和5年4月の法改正により下限面積の廃止がなされるとのことですが、実際の農業委員会の総会では今まで通りで何も変わらないようにも感じます。一方で新規事業として「JAおやま新規就農塾推進協議会の設立」とのこと。このプロジェクトが軌道に乗り、耕作放棄地の減少、担い手不足の課題解決、新たな出会いとコミュニティーの創造。そんな明るい未来を期待して、心からエールを送ります。

そのことを踏まえて再質問します。
新規就農者の負担軽減を考えた、栃木県が始めた就農支援サイトとのコラボはお考えですか?また、佐野市が行っている佐野ラーメン予備校移住定住プロジェクトのようなことを農業でできないか、小山市のお考えをお伺いします。

◎産業観光部長  只今の再質問にお答え申し上げます。とちぎ就農支援サイト 「tochino (トチノ)」には、 下都賀地区の農業研修制度として、先ほどご説明させていただいた 「JA おやま新規就農塾推進協議会」が既に掲載いただいております。今後、本サイトへの小山市の各種支援策の掲載や小山市公式ホームページからのリンク設置等により連携を深め、農業支援体制のPRを一層推進することにより、新規就農者の増加を図ってまいります。
また、佐野市の移住支援プロジェクト 「佐野らーめん予備校」 は、 佐野市への移住と「佐野らーめん」 店の創業や事業継承をあわせて支援するプロジェクトであり、佐野市に移住する方を支援の対象としていると伺っております。
小山市の農業においても同様の取組ができないかということでございますが、 今後、佐野市の取組をはじめ、 他市町の類似の事例等を調査・研究してまいります。
以上、よろしくお願いいたします。

 

●3番(土方美代議員)  前向きなご答弁ありがとうございます。
農業すなわち自給率とは、イコール国力です。ですが農業従事者の高齢化、担い手不足、耕作放棄地、違法転用などなど、さまざまな課題が山積しております。
法改正とは、そうせざるを得なかったいきさつ、立法趣旨を十分真摯に受け止めて運用していかなければなりません。法律は解釈論の違いで当初の目的から離れて独り歩きするものです。どうか、今回の法改正を受けて今後の小山の農業の在り方を異業種交流で考えて頂ける様要望とします。

それでは次の質問に入ります。

2.おーバスについて
「スクールゾーンの通行禁止時間の公共交通のあり方について」

旭小学校前の道路はスクールゾーンに指定されています。この時間帯は車両通行禁止時間となっており、バスの乗り入れもできません。子供の通学とサラリーマンの通勤時間はほぼ同じです。また、朝一で病院に診察券を出しに行く高齢者も同じ時間帯です。
公共交通の定義は、「地域住民の日常生活もしくは社会生活における移動または観光旅客その他当該地域を来訪するものの移動のための交通手段として利用される公共交通機関という」と定義されています。
スクールゾーンは、子どもを第一に守ることが目的ですが、あちらをたてればこちらがたたず。そのバランスをとることが行政の役目だとおもっています。

そこで質問します。
現在のおーバスの運行状況をお伺いします。

◎都市整備部長  只今のご質問のお答えします。駅南町5丁目の旭小学校前を通行する、 小山駅東口循環線の運行ルートとしましては、駅南町4丁目の国道50号線沿いデニーズ前交差点から北上し、 旭小学校前を西へ折れ、 駅南町1丁目の県道小山下野線へ抜けるルートとなっております。
この区間は、小学校前の通学路となっていることから、公安委員会により、 土曜、日曜、休日を除く午前7時から8時半までの時間帯は、 自転車及び歩行者専用とする交通規制がかけられており、自動車等の通行は禁止とされており、バスも通行できない状況になっております。 その交通規定に合わせ、 おーバスの運行ルートをその時間帯だけは、 国道50号線を北上せずに県道小山下野線まで西へ進み、そこから北上する迂回ルートで運行しております。
以上、よろしくお願いいたします。

 

●3番(土方美代議員)  ありがとうございます。只今の答弁で7時から8時30分の間、通行ができないといわれておりましたが、部長、実際の時刻表をみていただけましたか?実際の時刻表は、6時53分の始発のあとは、2時間半後、9時28分まで、7時台8時台は0本なんですね。2時間半何もないんです。仕方なく自転車で、出勤にバスを利用できなければ自転車で通ってしまう。そうすると帰りも自転車となります。

スクールゾーンの車両通行禁止時間、一般車のみを規制して、公共交通に関しては適用除外にできないのでしょうか。お伺いいたします。

◎都市整備部長  只今の再質問にお答えいたします。スクールゾーン等における交通規制は、 通学路を登校する児童の安全を確保するための措置として、公安委員会により規制がかけられているものです。通行禁止時間帯にバスを通行させるには、 警察署へ通行許可を申請し、 通行理由を疎明する資料等による審査を経て、 警察署長の許可を得ることが必要です。
申請にあたっては、 通行禁止時間帯における当該ルートのバスの運行、若しくは近接箇所への代替ルートの検討等について、地域の皆様、 小学校、PTA、 バス事業者等の関係者間での合意形成を図りながら、慎重に検討を進める必要があると考えております。
以上、よろしくお願いいたします。

 

●3番(土方美代議員)  ありがとうございます。裏を返せば、地域での合意形成を図り、警察の通行許可をとれば可能とのこと。今困っている人は今困っています。なんとか期間を絞って合意形成が図られるよう最大限の努力をしていただきたく、要望といたします。

3.各種ボランティアについて

災害ボランティアをはじめ、清掃活動、子供や高齢者の見守りなどなど、係の数だけボランティアが存在するようにお見受けします。一人一人に生きがいを持たせる意味では、大変有意義な政策だとも感じています。しかし、井戸端会議や学生さんとお話をしてみると、「自分が本当にやりたいボランティアと頼まれてやらされているボランティアは違うんだよね。」とポロっとこぼすんですね。
子供の子守が得意な子・高齢者のお話を聞くことが好きな子。お笑いで落ち込んでいる人たちを元気づけるのが得意な子、一人ひとり特技が違うように、やりたいボランティアも違ってきます。そういえば、12年前の3.11のとき、今は社協が取り仕切っていますが、あの当時は仕組みが不完全だったにもかかわらず、市民の皆さんは「わたしはこれができます。」カードを首から下げて活動していました。ボランティアの定義を誤解されている方も多いようですが、無償か有償かではなく、自主的な活動か?それとも、頼まれてやっているのか?のちがいです。何か最近のボランティアは定義から逸脱しているように感じます。

そこで質問です。
市民がやりたいこと、行政がやってもらいたいこと、この温度差をうめるために、どのような手立てを考えられているのかお尋ねします。

◎市民生活部長  只今の質問にお答えいたします。ボランティアは、 自分の意志で自分の関心のあるテーマについて、自分のできることから始める自主性のある身近な活動と認識しております。
市民活動センターでは、自分の特技を活かした活動をしたい方や、 ボランティア活動に興味のある方が実践できるよう、 ボランティア入門講座などを行うとともに、現在登録されている約200のボランティア団体への紹介を行っています。 さらに新たにボランティア団体を立ち上げたい方からの相談にも対応できる体制となっておりますので、安心してご相談いただければと存じます。
また、震災や台風などの災害時に協力いただく災害ボランティアについては、令和元年の台風被害などを教訓に、日頃からの活動の重要性や、 絆づくりなどを目的として、 市民活動センターと社会福祉協議会、 とちぎボランティア団体YANBE (ヤンベ) の3団体が2020年に「おやま防災」 を設立いたしました。現在は、白鴎大学の災害ボランティアサークル 「防災サークルめ組白鴎」とも連携し、 市民の皆様の防災意識を高めることなどを目標に定期的な活動を行っております。
今後も、 市民活動センターが行っているボランティア活動の支援体制について、ホームページやSNSを活用し、 若い方にも積極的にボランティア活動に参加、協力いただけるよう周知をしてまいります。

 

●3番(土方美代議員)  ありがとうございました。ただ今の答弁で約300のボランティア団体が存在するとご紹介がありました。この場を借りて、心から感謝と敬意を表したいと思います。
一方で、300団体もあると、交通整理も大変そうですね。例えば、自治会・地域見守り隊・自主防災会など、地元愛といいますか強い使命感から、ここは俺の仕事だ!これは私の仕事だ!と交通渋滞がおこる心配もあり、それが嫌でどこの団体にも所属しないで個人レベルで炊き出しをやっている方もいらっしゃいました。乾いた着るものをたくさん集めて持ってきてくれた方もいらっしゃいました。

たたボランティア団体を作ればいいと安易に考えずに市民一人ひとりができることを、やりたいことをできる環境づくりが最も重要だと思っております。行政のお考えをお伺いいたします。

◎市民生活部長  只今の再質問にお答えいたします。市では、災害により救援活動等の申し出を受けた際には、社会福祉協議会及びボランティア関係団体と連携し、円滑で効果的なボランティア活動が行えるよう 「災害ボランティアセンター」の立ち上げを支援いたします。
災害ボランティアセンターでは、一般ボランティアを受け入れ、支援が必要な方とのマッチングを行いますので、事前登録をされていない方でもボランティア活動に参加いただけます。
今後も、社会福祉協議会やボランティア関係団体と連携し、 被災者の実情に合わせたボランティア活動ができるよう必要な支援を行ってまいります。

 

●3番(土方美代議員)  ありがとうございました。本当にマンパワーって素晴らしいものですよね。ぜひとも進めていただきたいと思います。この度の質問の趣旨は、法改正のいきさつ、立法趣旨を真摯に受け止め、上乗せ条例、横出し条例の無いよう、今後の小山の市政への発展に努めていただけるように心からお願い申し上げ、質問させていただきました。これをもって私の質問を終わらせていただきます。

以上、ありがとうございました。